その後も特に問題なく毎日が過ぎていき、
保育園実習も終盤に差し掛かろうとした時でした。
いつものように、園庭で園児たちと遊んでいると
1人の園児が突然、こんな事を言い出したのです。
「Aせんせい、”たかいたかい”して!」
通常の病院実習では患者さんから何かを頼まれた場合、指導教員や学生指導の看護師に確認を取りますが
保育園実習では学校からの指導教員は付き添いしません。
そのため判断に困った事がある場合は保育士に確認を取るのですが、この時は園児のお迎え前の遊びの時間。
たくさんの園児たちと一緒に遊んでいる場面で、A君自身は完全に油断していました。
最初は園児のリクエスト通り、”高い高い”をして遊んでいたのですが
次第にエスカレートしていき、”肩車”をし始めました。
一連の様子は別の園児たちと近くで遊んでいた他の看護学生も見ていましたが、誰もA君に声を掛ける事はありませんでした。
その時点でもし1人でも「それは危ないんじゃないか」「危ないからやめたほうがいい」と言う学生が居たら。
“高い高い”から肩車をし始めた時点で、もし園児が怖がっていたら。また違っていたかもしれません。